京都・西陣織 紋紗 夏着物 御召 京友禅 MENU
織りについて

最高の涼感、透け感のある紋紗、
着心地のいい紋紗を追求しています。

弊社は、夏着物に使われる生地の中でも、風通しの良いことが好まれる「紋紗」の白生地を製織しています。
西陣では、紋紗も糸を先に染めて織られることが多いのですが、弊社では上質な白の絹糸で織り、
織ったあとに美しく染められる、白生地の製造に精進しています。

絹糸は蚕の繭からとれますが、生糸(きいと)には絹糸になる繊維のほかに不純物が2~3割含まれています。
これを取り除くためには「精錬(せいれん)」という工程が必要になります。
その精錬にも、織る前に糸の段階で行う「先練り(さきねり)」と、織ってから行う「後練り(あとねり)」があります。

着物の生地として有名な縮緬は「後練り」した生地ですが、当社の紋紗はすべて「先練り」をした糸で織っています。
糸の段階で精錬した(先練りした)糸はとても細いため、とても扱いにくいのです。
しかし、この糸で織るからこそ、この生地には「見た目」にも「着心地」にも、そして涼感とシャリ感があります。
また弊社では、三本からみ織の技術、知識を活かして、毎年、現代の着物愛用者に喜ばれる新しい織柄も発表しています。

三本からみ紗

夏用の着物には、より涼しい生地が求められますが、風通しをよくするために糸の密度を粗くすると、糸がスリップして穴が開いたようになってしまいます。そこで、隣り合ったたて糸を交互にからみ合わせる「捩り(もじり)織り」を用いて、しっかりした生地に透き間を生み出しています。
弊社では、からみ織の中でも右図のような「地たて糸」2本と「からみたて糸」1本(青)が複雑に絡み合った「三本からみ紗」で織ることで、最高の透け感と涼感を生み出す「紗」を製織しています。

三本からみ紗

絹糸にさらなる質感を与える技法

  • 生糸を先練りして不純物を取り除いた絹糸です。この時点では、絹本来の光沢感がありますが、紋紗を織るときには、たて糸に強く撚(よ)った糸を使うため、この糸に撚りをかけていきます。

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  • 弊社では特別にギリギリまで撚り回数を多くして、夏物に向く糸にしています。絹の光沢はあまりありませんが、少ない本数で透き間のできる組織を構成しながらも、シャリ感があるしっかりした生地ができます。

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  • 上写真は横糸を巻いた管が組み込まれた杼(ひ)またはシャトルと呼ばれる道具です。織機が一回ガチャンと動くごとに右から左、左から右と移動してたて糸に横糸を通していきます。

単調な柄の繰り返しにならない
大胆な織柄づくりに日々精進しています。

織り組織の見え方の違いで文様を織り出す「紋紗」ですが、織りやすいのは縦方向にも横方向にも単調な柄を繰り返すものです。
ただ、それでは面白い商品はなかなかつくれません。
弊社は、一釜(ひとかま)で、紋丈(もんたけ)が長めの大胆な柄を得意としています。
一釜とは、生地の巾一杯に柄を展開するやり方で、大胆な柄を織り出すことができる反面、
製織時のトラブルが増えるため、難しい織物となりますが、改良を重ねながら製造しています。

また、紋丈は、たて方向の柄の始まりから終わり(繰り返し点)までの長さのことですが、
下の写真のように、4釜の柄では生地巾(およそ38センチ)の半分弱(45%ほど)になるところ、
一釜の柄では生地巾の4.5倍近い長さで織り出せます。
通常、柄の作成は「紋屋さん」に外注することが多いのですが、紋丈が長いほど柄(紋)を作る手間と費用がかかります。
そのため、弊社では紋の作成技術を習得し、柄を自社内で作成しています。
そして、大胆な柄の製織に取り組み、今までにない新しい柄をお届けしているのです。

■4釜の柄

■一釜の柄

染めについて

紋紗の文様の魅力を生かした
染生地もご好評いただいています。

弊社では、お客様のご要望にお応えして、自社の白生地を染める染色工程も担っています。
紋紗には生地自体に地紋がありますので、加飾をせずに一色に染めた生地もありますし、ぼかし染めを取り入れることもあります。
いずれも紋紗の地紋を最大限に生かせるように熟考し、同じ地紋の生地でも、色や染め方を変えて、
それぞれが一点物となるように制作しています。

なお、弊社には、京都府の「京もの認定工芸士」京友禅の部門でも認定されている職人がおり、
手描京友禅の技術を生かしたもの創りに励みながら、お客様との綿密な打ち合わせを経て、
そのお客様だけの1点を創り出す「お誂え」も承っています。

紋紗の染生地

  • 浸染で淡い紫に染めた紋紗生地。夏に着用する生地ですので、淡い色は見た目の涼やかさを引き立てます。

  • たて暈し(ぼかし)の引き染めは定番商品です。濃い色は地紋の美しさが際立ちます。

  • 大胆な地紋に合わせて、地紋を活かした染色加工は、より一層生地の魅力が引き立ちます。