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2021/05/08
弊社の紋紗のお取扱いについて

弊社の紋紗をいつもお取扱いくださっている業者様、及びこれから取扱いをご検討くださっている方々へのご案内です。

 

今年に入りまして、去年とは違って少しずつですが弊社の紋紗の出入りが多くなってきました。そして展示会や販売会も増えて、私もちょっとだけですがそのような場に立ち会うことが増えました。そのような中、少し考えるところがありまして、今回は私の思いの丈を書かせてください。辛口ではございますが、お付き合いくださればと思います。

つい先日4/4付の「お知らせ」のコーナーでも熱く?語りまして重複しているかもしれませんが。

 

まず弊社の生産体制からお話しますと、織手さん1人、会社は夫婦2人で営んでおります。誰かに手伝ってもらいたいと思いながらも、10年以上前から従業員を雇える状況ではありません。白生地の生産・管理から染出し作業など、2人でやっております。夫婦のどちらかが倒れたら会社は回らなくなるでしょう。

また織手さんも現在1人で頑張っておりますが、みなまでは書きませんが、そういう状況です。

そして織り上がる生地はとても難しい生地に挑戦しているために、正反はほぼ織れないと言っても過言ではありません。

そのような生産体制の中で、私達は1反1反と丁寧に向き合い、この地紋はこの色、この染め方、と白生地に命を吹き込んでいきます。貴重な正反を如何に最高の形にするかを考えて、染め出しをしております。丸巻きの反物でベストの状態で、お客様に提供できることを常に考えております。それは弊社の紋紗は着物、羽織、道行コート、道中着、いろんな形にお仕立てが出来ますので、ベストな状態の正反の丸巻きを提供し、お客様にお仕立てを選んでいただければとの思いがございます。

 

ただ残念なことに、白生地の段階で正反が常に織り上がってくるわけでもなく、また正反だったのに染めの段階や、整理(のし)などの工程で難物になる場合も多々あります。

元々とてもデリケートな生地ですので扱いが難しく、ちょっとした気の緩みの人為的なミスで難が出る場合も多々あります。

 

さて、ここまでが前置きになりまして、ここからが本題です。

私達が如何に貴重な1反1反を大事に大事に想いを込めて扱っているのか、少しはご理解いただけたでしょうか。そして勝手な私の想いの話だけでなく、本当に貴重な1反だということを知っていただけたと思います。また商売がいつまで続けられるのかも断言できない状況ということも。

 

その上で、心からのお願いです。

弊社の反物をお取り扱う際には、どうぞ丁寧に扱ってあげてください。

単にお商売の材料として、賑やかしとしてだけに扱わないでいただきたいのです。うちの商品に愛情を持って接して欲しいのです。

ちょっと思うところがありまして、書かせていただいております。

 

何のことか分かりづらいので、今までにあった悲しい例をいくつかあげます。

・反物にボールペンのインクがついていました→多分、ボールペンを持ったまま反物を扱ったのでしょう

・日の当たるショーウインドにディスプレイされていたのでしょう。綺麗な紫が反物の入り口は水色に変色していました→地直しの範囲が広過ぎる為、貴重な正反が難物になりました。

・反物や絵羽が折れ曲がっていました→あまりにもキツく折れていたのは展示会の搬出の際に雑にダンボールに詰めて梱包されたようです。デリケートな商品なので折れに弱いのです。反物でお客様に着装の際にも十分にお気をつけてクリップで止めてください。雑にクリップで止めたり外したりすると、白くスレます。直りません。

・展示会場と同じ場所での飲食の提供は考えていただきたいです。特にお茶菓子をお客様にご提供される際には食べこぼしなど気になります。お客様がお茶菓子を召し上がれた後の処理をしっかりしていただきたいです。(この時期飲食の提供は、ほぼされていないと思いますが)テーブル、床、お客様の手など、反物を広げてご案内する際にとても気になります。お菓子のクズや手の汚れが付きますとシミやカビの原因になります。

・反物で着装をされる時、絵羽の着物を着装される時、ファンデーションや首元の汗が付かないように注意してください。また着装の際には必ず着物シートを広げて、その上でお客様に着装し反物を扱ってください。

 

商品に愛情があれば、難しくないと思います。

ま、言ってしまえば、はい、そうです。私は神経質です。まあまあ潔癖症です。私が普通ではないということでも結構です。うるさいオバハンです(それは事実です)

ただ私達が心を込めて作り上げていく商品を同じように大事に思って欲しいという思いからなんです。全てお買い取りしてくださるのであれば、どうぞ何なりとお好きに…と言いたいところですが(それはお客様にとって幸か不幸かは???ですが)

私達はかなりのハイリスクを背負いながら商売をしており、お買い取りなかった商品の返品を受け付け、いつどこで事故したかわからない着物の、シミ落としや焼け直しの地直しを背負っております。ノーリスク ハイリターンでは全くありません。

 

長文になりましたが、どうぞメーカーである織元にではなく、職人である織手さんに敬意を払って商品を扱ってあげてください。私と同様に自ずと商品を大事に思えて、愛情が湧いて、大事なお客様にお届けしたい、着ていただきたいと思えるのではないでしょうか。

これから紋紗のシーズンです。お取り扱いされる業者様は弊社の商品に限らず、生産者の思いを汲んでお取り扱いしてくださればとの思いで書かせていただきました。

 

失礼な文章と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、どうぞご容赦ください。正直な私の思いを書かせてもらっています。少しでもご理解いただければ嬉しいです。

 

どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。