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2019/07/02
友禅の見学

先週末に親戚がフランスのお友達を連れて、私の友禅の工房にお越しくださいました。フランスからとはいえ英語でお話しされるのですが、全部親戚が流暢な英語通訳をしてくれて、私はスムーズに友禅の工程等、説明させていただきました。(この友禅の実演等、普段は一切しておりません。今回特別に段取りさせていただきました)

 

 

さて今までこのような友禅実演、工房見学は数回したことがあります。数える程です。お取引先のご要望で、お客様に見せたいというものが中心です。最近、友禅工房を開放して、見学や体験をしているところも多いようです。私の工房にどのくらいご要望があるかは存じませんが、申し訳ありませんが今後もしばらくは、そのような予定はありません。もしご希望の方がいらっしゃいましたら、私のお友達の工房をご紹介しますので、弊社にお問い合わせくださいませ。

 

非公開の理由はいろいろありますが、まず友禅の実演するにあたって、その日までに準備することが多く、長期的な計画をしていないと出来ないというところです。

 

友禅をするには、まずは白い生地を用意し、墨打ち(着物のパーツの寸法を測って印を付ける)、図案を描き、着物の生地幅(約38㎝)に図案をパーツ毎に描きます。その図案を元に白生地に図案を写し、糸目(染料がにじまないように線でくくる)を引きます。←これは専門の職人さんにお願いしています。糸目が終わったら、柄の中を糊伏せ(マスキング)します。マスキング後にマスキング以外の広い部分を引き染めします。←これも専門の職人さんにお願いしています。染まった後、染料を定着させる蒸し、糊を落とす水元(みずもと)というのを専門の工場へお願いします。

 

 

そしてやっと私の手元に戻ってきて、友禅の準備に入ります。図案や職人さんの混み具合にもよりますが、大体これまでに最低でも1ヶ月〜2ヶ月かかります。またそれもいきなり友禅が出来るわけでもなく、友禅部分に良く染まるように地入れという作業をします。布海苔(ふのり)を炊いて、こして、刷毛で友禅部分に塗っていきます(1日以上はじっくり乾かしていた方が良いです)。友禅の色を決めて染料を合わせるのは、実演の前日にします。そして当日に友禅する部分を決めて、それ以外は少し作業を進めて、色合いをみたりしておきます。

 

そして当日は工程を説明しながら、残しておいた友禅部分に色を挿します。

 

というのが、一連の流れです。友禅の実演には長い時間をかけて準備をし、前日には色合わせは必須です。また実演の次の日には残りの友禅を終わらせます。なぜなら、染料はナマモノです。長期間置いておけるものではなく、一度合わせた染料は出来るだけ早く使い切ります。

 

と、言うことは!今回の実演ですが、土曜日にしましたが、前日の夜遅くまで作業をし、実演の次の日の日曜日にも残りの友禅をしました。ただでさえ忙しくてバタバタした1週間のうち実演前日は会社と工房の掃除に始まり、1日準備明け暮れました。

 

結局ね、暇だったらいいのです。絶対的に実演の前日は、通常の仕事が出来ないので、その分予定が押します。それがまた問題です。長期間な計画をしておきながらも、実演の前日の予定は、当日でないとわからない部分もあります(お客様のご来社、お取引先に呼ばれる等)。でも実演の準備は必須です!

 

長々と出来ない理由を書きましたが、今は特別な理由がない限り対応できない状況ですので、どうぞご容赦くださいませ。私がこのように細かく書いたのは、友禅の工程には長い時間が掛かり、準備も含め容易ではないということをご理解いただきたいのです。 また普段の仕事見てみたいという方がほとんどでしょうが、友禅をしている時間よりも、それ以外の作業の方が大部分です。ほとんどが地味な作業です。墨打ちの作業なんて、お話しながらなんてできません。かなり集中して作業します。友禅以外では見てもらうような作業って、あまりないように思います(^^;)

 

このように閉鎖的な工房ではございますが、良いものを作ることに集中していきたいと思っておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします!