着物一覧
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2020/02/01キモノアレコレ
「お知らせ」にも投稿しておりますが、この度「2020 西陣織大会」にて、弊社の紋紗が「文部科学大臣賞」を受賞しました。
私の知る限りでは、弊社でとった賞では一番いい賞だと思います。
入賞者は昨日(2020.1.31)付けの京都新聞にも掲載されました。
受賞した紋紗は、私がデザインし地紋を描いて、染め出ししたものです。地紋は数年前の新作なんですが、今回は生地を薄目に織った「うすものがたり」として発表した商品を出品しました。着物用というよりか、コート・羽織用としての生地です。
写真では分かりにくいですが、柄は大胆な更紗です。
この生地の一番難しいところは、何と言っても地紋以外の「無地」の部分を傷なく織ることです。そしてこの従来より薄手に織ることは、更に難度が上がり、高い技術が求められます。
ただでさえ夏物を織るのは難しいということは、業界的には周知の上だと思います。そんな中、この織大会においては、西陣御召を含めた着尺部門で上位に上がることは難しいと思っていました。そういうこともあり、この度の受賞は本当に驚きました!
ちなみに、審査には専門の方と、一般の着物愛好家 の方とおられ、織元の名前を隠して投票で決められます。
どのような方々から票が入ったのかは分かりませんが、本当に嬉しい限りです。ありがとうございました。何よりも、携わってくださっている職人さん、頑張って織ってくれている織り手さんに感謝です。いつもありがとうございます!
さて次回の「キモノアレコレ」では、今回出品した「夏物の黒留袖」のレポをします!
こちらは何とかギリギリ出品できました。何も賞も取ってはおりませんけど、私にとっては嬉しかったことがありました〜(^。^)
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2020/01/11キモノアレコレ
去年の秋に弊社で着物のお誂えをしてくださったお客様(kimono dresser MAKI 様)をご紹介いたします!
弊社には若干ですが、丹後ちりめんの生地もお取扱いしております。今回はその丹後ちりめんを使用した着物をお誂えされました。
まずは生地をご覧いただき、選んでいただきます。そしてどの様な染めにするのか、色見本帳を見ながら、ご検討していただきました。
今回の生地は白生地の段階で、すでに絵羽模様(仕立てた後を想定して、裾、衿、袖に柄が描いてある)になっていました。銀糸が縦に滝のようなイメージでボカシ風に配置されて、それがキラキラと輝いて素敵な生地なんです。
こういった生地は、生地の特徴や良さを最大限に引き出してあげたいですよね。
銀糸入りということを「さりげなく」見せるのか「ガッツリ」見せたいのか、まずは着る方のお好みと、用途によると思います。
「さりげなく」見せたいのであれば、寒色系統の薄い色で、「ガッツリ」見せたいのであれば、黒やその他の濃い色にされたら良いと思います。
そしてこの度選ばれたお色は、この素敵な水色!
小さな色見本でこのお色を選ばれた時は、大丈夫かしら?面積が広くなると派手過ぎではないかしら?と少し私は心配しておりました。
お仕立て後、納品の時もとても喜んでくださり、先日はその着物をお召しになってご来社下さいました。
ホントに素敵!!!!!
そして、とってもお似合いです!雑誌の表紙みたいでしょ〜。(私が勝手に写真を加工しました!笑)
とても素敵だったので、maki様に弊社のHPの掲載をお願いしてみました!
私もうっとり。このお色で本当に良かったんだーと実感。
お誂えというのは、欲しい色柄が売っていない、探せないのでするものではないでしょうか。無難な色柄をお探しの方ではなく、自分らしい本当に好きなお色を一から染めて着たい人のものですね。
お誂えのハードルが高いと思われる方は、まずは色無地のお誂えで冒険色を試されるのもお勧めします。せっかくの機会ですので、攻めたお色に挑戦されたら如何でしょうか。
実はつい先日、このmaki様の着物をご覧になって、素敵なお色のお誂えをされたお客様がいらっしゃいます。(只今、急ぎで染め出し中ですので、またこちらでご紹介できればいいなぁ)
ご心配の方は、まずはパーソナルカラー診断や顔タイプ着物診断等で、ご自分に合ったお色を専門家に診断してもらって、お色を確定して色無地を作られたらよろしいかと思います。
ちなみに私のお友達で、先日ご来社くださいましたパーソナルカラーや、顔タイプの診断をされている先生はこの方です。関東を中心にご活躍されています。
真壁しおりさん→https://ameblo.jp/kimono-goto-shiori/
年末ご紹介したかったのですが、忙しくて手が回っていませんでした。またゆっくりご紹介できればと思います。
またこの度ご紹介しておりますお客様のmaki様も、呉服のお仕事をされて、沢山のお客様を接客され、着物 のコーディネートされてこれらたプロですので、知識も豊富でお色にも詳しいです。
初めてのお誂えは、いろんな方のご意見をお聞きするのも手ですね。
ご意見、ご感想、ご質問はどうぞ「お問い合わせ」のページから、お気軽にお寄せくださいませ。
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2019/09/15キモノアレコレ
KOUGEI EXHIBITION“JOURNEY” 工芸を旅する展覧会(9/7〜9/8)に参加しました。この展示会は2019年9月1日から9月7日の国際博物館会議 京都大会(ICOM 2019)の開催にあわせて 実施する「KYOTO KOUGEI WEEK2019」のプロジェクトの一つでした。
『京宿うさぎ』さんにて、3グループがこのホテルの客室を展示会場として、展示をしました。私は所属している「京もの認定工芸士」の任意団体の【響】というグループでの参加でした。展示の風景は写真の通りです。各界の分野の若手、中堅の職人が作った作品を、この一棟貸しの高級宿屋に展示しました。
とても見応えのある、他にはあまり見ることのない面白い展示会になったと思います。
ちなみに私は染め帯2本と日傘を2本を出品しました。次の日が9/9の重陽の節句ということもあり、菊の染め帯を出品しました。
日傘は以前に試作品として作っただけで、幻の紋紗日傘でございます…(^^;;
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2019/08/10キモノアレコレ
8月1日(木)、2日(金)の2日間、京都市中京区の「ちおん舍」にて開催されました「第三回 西陣御召発表会」は無事終了いたしました。
京都市内の予想最高気温が38℃、39℃という、京都らしい蒸し暑い日になりました。「西陣きもの会」10社程での合同発表会で、和気あいあいと楽しくアテンドしておりました。
業者さま向けの展示会でしたので、小売店さん、問屋さん、産地問屋さん、その他お取り引きメーカー等の方々がお越し下さいました。
お越し下さいました皆様、暑い中本当にありがとうございました。
弊社は今年の展示会は「紋紗の塵避け」としてのご提案として「コート」や「羽織」を中心に、絵羽物を展示いたしました。紋紗の生地自体は「着物」としても「羽織もの」としても、どちらにでもお仕立てすることが出来ます。その「羽織もの」として着用するにあたって、もっとお洒落で素敵な物はできないかと考え、作ってきました。そして薄手の紋紗の新作もあわせて、この度発表いたしました。
弊社のみでのこうした新作の展示会等出来ないので、この年一回のこの展示会で、こうしてご覧いただく機会ができますこと、大変嬉しく思っております。そしてこれを励みに、頑張っております。ご意見、ご要望などございましたら、お気軽にお聞かせくださいませ。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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2019/07/02キモノアレコレ
先週末に親戚がフランスのお友達を連れて、私の友禅の工房にお越しくださいました。フランスからとはいえ英語でお話しされるのですが、全部親戚が流暢な英語通訳をしてくれて、私はスムーズに友禅の工程等、説明させていただきました。(この友禅の実演等、普段は一切しておりません。今回特別に段取りさせていただきました)
さて今までこのような友禅実演、工房見学は数回したことがあります。数える程です。お取引先のご要望で、お客様に見せたいというものが中心です。最近、友禅工房を開放して、見学や体験をしているところも多いようです。私の工房にどのくらいご要望があるかは存じませんが、申し訳ありませんが今後もしばらくは、そのような予定はありません。もしご希望の方がいらっしゃいましたら、私のお友達の工房をご紹介しますので、弊社にお問い合わせくださいませ。
非公開の理由はいろいろありますが、まず友禅の実演するにあたって、その日までに準備することが多く、長期的な計画をしていないと出来ないというところです。
友禅をするには、まずは白い生地を用意し、墨打ち(着物のパーツの寸法を測って印を付ける)、図案を描き、着物の生地幅(約38㎝)に図案をパーツ毎に描きます。その図案を元に白生地に図案を写し、糸目(染料がにじまないように線でくくる)を引きます。←これは専門の職人さんにお願いしています。糸目が終わったら、柄の中を糊伏せ(マスキング)します。マスキング後にマスキング以外の広い部分を引き染めします。←これも専門の職人さんにお願いしています。染まった後、染料を定着させる蒸し、糊を落とす水元(みずもと)というのを専門の工場へお願いします。
そしてやっと私の手元に戻ってきて、友禅の準備に入ります。図案や職人さんの混み具合にもよりますが、大体これまでに最低でも1ヶ月〜2ヶ月かかります。またそれもいきなり友禅が出来るわけでもなく、友禅部分に良く染まるように地入れという作業をします。布海苔(ふのり)を炊いて、こして、刷毛で友禅部分に塗っていきます(1日以上はじっくり乾かしていた方が良いです)。友禅の色を決めて染料を合わせるのは、実演の前日にします。そして当日に友禅する部分を決めて、それ以外は少し作業を進めて、色合いをみたりしておきます。
そして当日は工程を説明しながら、残しておいた友禅部分に色を挿します。
というのが、一連の流れです。友禅の実演には長い時間をかけて準備をし、前日には色合わせは必須です。また実演の次の日には残りの友禅を終わらせます。なぜなら、染料はナマモノです。長期間置いておけるものではなく、一度合わせた染料は出来るだけ早く使い切ります。
と、言うことは!今回の実演ですが、土曜日にしましたが、前日の夜遅くまで作業をし、実演の次の日の日曜日にも残りの友禅をしました。ただでさえ忙しくてバタバタした1週間のうち実演前日は会社と工房の掃除に始まり、1日準備明け暮れました。
結局ね、暇だったらいいのです。絶対的に実演の前日は、通常の仕事が出来ないので、その分予定が押します。それがまた問題です。長期間な計画をしておきながらも、実演の前日の予定は、当日でないとわからない部分もあります(お客様のご来社、お取引先に呼ばれる等)。でも実演の準備は必須です!
長々と出来ない理由を書きましたが、今は特別な理由がない限り対応できない状況ですので、どうぞご容赦くださいませ。私がこのように細かく書いたのは、友禅の工程には長い時間が掛かり、準備も含め容易ではないということをご理解いただきたいのです。 また普段の仕事見てみたいという方がほとんどでしょうが、友禅をしている時間よりも、それ以外の作業の方が大部分です。ほとんどが地味な作業です。墨打ちの作業なんて、お話しながらなんてできません。かなり集中して作業します。友禅以外では見てもらうような作業って、あまりないように思います(^^;)
このように閉鎖的な工房ではございますが、良いものを作ることに集中していきたいと思っておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします!